ささやかなことに対する感謝の思いを

ささやかなことに対する感謝の思いを

 身障者の者たちを哀れむ前に、自らの人生がほんとうに幸せであるかということを、ほんとうにそれだけのノーマルな完全な肉体を持っておられるならば、それだけの人生の価値をもって、真剣さをもって、今のときを大事に生きておられるかということを、もう一度、考えていただきたいのです。
 でなければ、今なぜこんなに多くの方がたが自殺をなさられるのでしょうか。多くの若者たちが、いえ、中高年におかれましても、多くの方がたがこの現代の中の物質がいっぱいあり、そして素晴らしい肉体を持っておられる方たちが、安易に自殺をして、この地上を去られます。
 それはなぜかと言うと、今自分自身が与えられている環境に対する感謝というものが少しも感じられず、幸せの原点というものをしっかりとらえておられないから、あなた方は不幸であると、いつも自分に思ってしまい、世界中で自分こそがいちばんの不幸者であるというふうに思いつめ、自ら命を絶つのです。
 でも、わかりますか? 一生真っ暗な闇の中で閉ざされ、光を見たことのない者が、光り輝ける素晴らしい、美しい自然界の姿を見たときの感動。耳も聞こえぬ、ほかの方がたの声も聞こえぬ、音のないサイレントな世界の無音な世界の中で、何の声も聞こえない孤独の中に閉じ込められていたときに、一筋の小鳥のさえずりを、波の、さざ波の音を、木々の風の吹き抜ける音を聞いたときの感動を、あなた方は味わったことがありますか?
 あなた方はあまりにもそういう幸せに慣れすぎていて、感動することを、感謝することを忘れている。幸せというのは何かをつかまえたり、物質的なものをつかまえたからといって幸せがあるのではないのです。自分がおかれているささやかなことでも感謝し、それを感動をもって、人生の中で愛を人びとに振りまいて、神に感謝して、自らの神の子としての生きざまを、人生をかけて精一杯生き抜いていった者には、たとえどんなにみすぼらしく見えた生涯があったとしても、本人の心の中は、幸せと感動で、震えているのです。

きれい・ねっと 出版
「スピリチュアルメッセージ集51 ヘレン・ケラー」(アマーリエ著)  より抜粋