一念三千
(いちねんさんぜん)人間の心は、一瞬(一念)にして地獄の底から天上界の最高霊域まで、あらゆる世界(三千世間)に通じることができるという、心の性質をあらわした教え。
天国も地獄もこの世と別の世界ではなく、自分の心の中にあるのであり、それゆえに人は生きているときからきちんと反省をし、心を地獄ではなく天上界の方へ向けるよう、常に努力しなくてはならない。生きているときの心の持ちようが、あの世にもそのまま反映するからである。
「一念三千」は中国天台宗の開祖である天台智??(538-597)の教えを記録した『摩訶止観』の中に出てくる説で、天台教学の中心とされるが、これは単なる思弁的な教義ではなく、修行者が止観(禅定に入って智慧を起こし観察すること)を行うときに、自らの心の中にある仏の境地を観察対象にせよ、という実践的な教えでもあったと言われる。
第一から第三の計画においては、この実践的な側面を受け継ぎ、かつては主に修行者に向けて説かれていた「一念三千」を、私たち一人一人の生き方そのものにも直結する普遍的真理として扱っている。
参考文献
- 心の原点
- 太陽の法
- 空海の霊言
- 岩波仏教辞典第二版
- 高橋信次再復活2